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時間がある今、ウェブサイトで日本の全国紙記事をよく読む。読売の「人生案内」には深刻な相談も寄せられるが、先日(先月12日掲載)見つけたのはちょっと笑える。以下に転載。「指揮マネ病」 階下から注意
60歳代男性。少年時代からの癖が、ただいまピンチになり困り果てています。
若いころに指揮者小沢征爾さんのライブを見て、躍動感あふれる姿が脳裏に焼き付きました。以来数十年、音楽を耳にすると、条件反射的に体を揺すりくねらせ、タクトを振るまねごとをします。
恥ずかしいので人前ではしませんが、一人暮らしのアパートの部屋にいるとパフォーマンスに陶酔している自分がいます。音量には気をつけ、跳んだりはねたりはしないので、世間様には迷惑をかけていないと思い込んでいました。
先日、階下の新住人が来て「天井がきしみ電灯がゆれる。何をしている」とすごまれました。とにかく謝り、事なきを得ましたが、落ち込んでいます。そういえば、階下は人の入れ替わりが多いようです。
今は我慢していますが、ラジオから音楽が流れると体がむずむずしてきます。私の“宿痾(しゅくあ)(持病)”である「指揮マネ病」とどう向き合えばいいのでしょうか。(埼玉・R男)
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うむ。「宿痾指揮マネ病」ですか。失礼な言い方になるかもしれませんが、これは珍しい悩みですね。確かに現在困っておられる点についてはよく理解できましたが、音楽の楽しみ方にこんな方法があったのか!そのユニークさに思わずうなりました。確かにこれは陶酔感を得るための最高の手段でしょう。以上のように感じましたから、あなたのこの楽しみ方はやめるべきではない、というのが、私の基本的考えです。それでどうするか?思いつき程度の アイデアかもしれませんが、1階に引っ越せば問題がなくなるんじゃないかと思いました。特に階下は、あなたのせいかどうかは別にして、よく引っ越されるとのこと。それなら今の人が引っ越したあとに入るとか。
もう一つの方法。小沢征爾をイメージするから、喧騒(けんそう)が生まれるんだとしたら、もっと静かな指揮者、たとえばカール・ベームとか(ほとんど動きませんよね)……そういうイメージで陶酔に浸ることってできませんか?躍動感のある指揮も良いですが、抑制の効いた内面的な指揮もマネるに足ると思うんですが。
(野村総一郎・精神科医)
見事な回答だと思うけど、カール・ベームじゃ、欲求不満になりそう……。
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