Sunday, August 31, 2008

Saigon...

近藤紘一は「サイゴン陥落十年目の春」に書いた「サイゴンのいちばん長い日」の「文庫版のためのあとがき」で、
「今後、ベトナムは立ち直れるのか。あるいは半永久的に東南アジアの最もだらしがない国の地位に自らを置き続けるざるを得ないのか。
国内的にみれば、再生のとりあえずのステップは、南北民族の真の和解の達成であろう。サイゴン陥落のあの朝あらためて感じた北と南の人びとを隔てるミゾは、十年後の今日、さして埋まっていないように見える。むしろ、南の民心は一九七五年四月三十日のあの解放の時点より、さらに北指導部から離反してのではあるまいか」と分析する。

この文章が書かれて間もなく、ゴルバチョフ登場と時期を同じくして、ベトナム政府は「ドイモイ(刷新)」政策を開始し、経済の開放を進めることになる。現時点でのインフレと物価上昇は暮らす人たちを苦しめてはいるが、それも企業進出や不動産開発という開放政策のひとつの結果だ。ドイモイが全体的な生活水準を押し上げたことは確かのようだ。しかし、急速に経済発展する国に共通の「カネカネカネ」思考がはびこり、弱肉強食が広がっているようにも見える。「コーヒー代」の土壌がある土地のこと、この風潮も不思議ではない。

表面的には落ち着いているホーチミン市。また、訪れたくなった。日本の援助を得て改築されたタンソンニェット空港は、そう遠くない昔、戦場の一部だったのだ。(市内の目抜き通り「ツゾー通り」はいつ「ドンコイ通り」と名を変えたのだろうか。)

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