Monday, September 17, 2007

Hinomaru Daigaku

どうせ日曜日の夜は眠れないので、朝方まで起きて「虚構大学」を読み終えた。何が「虚構」と言わせるのかよくわからない。どこまでが真実で、どこからが小説なのか知らないが、出身校に対する見方が良くも悪くも変化した。

公正中庸の「日の丸大学」、「学校法人自由経済大学」の学長になることだけが関心の宇宙物理学者「天野恒道」。その国粋思想のために戦後追求されることを恐れ、助教授や講師を道ずれにして京大教授の職を辞した人。容貌の描写からも誰のことが容易に判断がつく。京大の定年教授退官が数年先との理由で学長就任を断った憲法学者の「矢吹崇文」。全く設立資金のない計画に、推薦する生徒の全員入学を引き換えにして校長が援助を快諾する「洛東高校」。「元関東軍参謀、陸軍省軍事課長から、インドのチャンドラ・ボースの独立運動を支援工作した、陸軍の謀略機関の責任者。太平洋戦争で、もっとも悲惨だといわれたインパール作戦では、遂に一人の餓死者も出さずに撤退に成功したという、元陸軍少将」で監事から理事に昇格する「黒沢雄平」のことは昨日も書いた。京都市長の「大高義雄」は、「矢吹崇文」のモデルであろう人の本名をもじったものか。そして自民党副総裁に幹事長。上賀茂に柊野別れ、鞍馬街道まで書いておきながら、「神山」を「かみやま」と読ませているのはなぜだろう。しかし、「千田考志」さん、ご苦労さま。

それにしても、この光文社の文庫版ジャケットには、「建設用地に宇治の国有林の払い下げに成功するが」と書かれている。大失態だな。

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