Sunday, November 21, 2021

Reporting from South Vietnam―日本人記者たち:「ジャーナリズムの恥」と文豪が言う(9)

    現地取材の先駆とおそらく呼んでもいい開高健を始めとして、日本人特派員たちがベトナムから報道していたのは一九六五年からサイゴン陥落後しばらくまでの話であるが、ベトナム戦争に関して日本人が執筆した当時の著作物の権威を曇らせるに十分である。こんなレベルの報道を基にして行われた実際には反米運動と呼べるベトナム反戦運動とは一体何だったのかということにもなる。また八〇年代後半から少なくとも九〇年代前半にかけてよく記憶しているのは、毎日新聞の国際面にときどき掲載された、例えば「米誌USニューズ&ワールドレポートによると……」で始まる記事のほとんどは同誌の小ネタ記事ページから採られたもので、わざわざ日本国内で報じる価値の乏しいものだった。ベトナム戦争報道を少々知ることによって、日本のメディアによる海外報道に進歩が見られないことに―残念ながら―納得してしまった。それから二〇年以上が経過しているとは言え、今日でも眉に多量のツバをすることを忘れない方が賢明だろう。ハルバースタムは、次のように書く。 

"... the Asahi Shimbun could not compete with the Washington Post, nor NHK-TV with CBS.45"

45 Halberstam, David. The Powers That Be, 1975 (University of Illinois Press Edition, 2000)

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