うつ病の診断書、「表現弱める」医師9割 復職に配慮(朝日新聞)
働いている人を診断する際、本当は「うつ病」なのに、診断書に「抑うつ状態」「心身疲弊」などと軽い症状に書き換えている医師が約9割に上ることが、労災病院の医師らによる医師の意識調査で明らかになった。うつ病と診断されると職場復帰が難しくなるのではないか、と考える患者の立場を考慮しているという。「心の病」の実態の把握がぶれ、本人の治療や企業・周囲の理解を妨げる危険もある。
関西労災病院心療内科・精神科の柏木雄次郎部長らが昨年2月、全国の心療内科と精神科の開業医ら約3000人を対象にアンケートを郵送し、匿名で846人から回答を得た。調査結果は近く日本職業・災害医学会会誌に掲載される。
調査結果によると、診断の際に、92%が「虚偽でない範囲で診断病名の表現を緩和する」とした。うつ病の表現には「抑うつ状態」が40%で最も多く、ほかにも「心身症」「心身疲弊状態」など「病気」という印象を弱めようとする傾向が見られた。
患者の意向に沿った診断書の作成について、厚生労働省は「患者をだまして事実と全く異なることを書くのでなければ、診断書の偽造ともいえない」(医事課)との見方だが、調査した柏木部長は「あいまいな表現が広がれば、病気に対する職場の理解が進まず、適した仕事量を話し合うことも難しくなる」と指摘する。
また復職条件については、96%の医師が日常生活に支障がない「寛解状態」で可能と考えているが、74%の医師は会社側から「完全治癒」を求められていた。ただ、うつ病は再発しないと断言することが難しく、「完治」の判断がしにくい。
労働相談に応じている日本労働弁護団は「復職を望んでも会社側が拒み、休職状態を長引かせて解雇に追い込むケースがここ2、3年目立っている」という。
厚労省の02年の調査では、仕事で強いストレスを感じている労働者は全体の6割を超えた。うつ病患者を含む精神障害者の労災申請数は03年度は438件、認定数は108件といずれも過去最高を更新している。
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