Wednesday, December 21, 2011

Ольга Морисовна


今夜、「オリガ・モリソヴナの反語法」(米原万里)を読了した。どこまでが真実に基づいているのか、もちろん不明だが、チェコスロバキアやロシアでの実体験なしに書ける話ではなく、万里さんにとってプラハのソビエト学校での経験がどれほど強烈だったのかをあらためて感じさせた。また、「Sophie’s Choice」を思い出したりもした。以下は本題に大きく関係しないが、「あっ」と思った個所。

「…今は少女時代に親しんだロシア語を生かして翻訳者をしている。翻訳家ではない。文芸書を訳すような文才はないし、研究書を訳すほどの学識素養もない。それに、どちらも収入には結びつかないどころか持ち出しになる。…商社がロシア向けに売り込む機械の説明書や、契約書の翻訳が主な仕事だ」(48ページ)

プロレス技とレスラー名、それから来日したアメリカの野球チームと選手の名前以外に少年時代に外国語に親しんだ覚えはないが、翻訳家ではなく翻訳者というのも仕事の内容も、日頃考えていることとピッタリではないか。

「亜紀バレエ団で、藻刈富代が凡庸な才能とバレエには全く不向きな股関節の持ち主であるにも拘わらずプリンシパルの座を射止めたのは、藻刈の父親が団長の亜紀雅美に都内一等地のリハーサルスタジオをプレゼントした見返りだというのは、すでに日本バレエ界の常識になっていた」(147-148ページ)

誰のこと?あまりに実在する団体と人名に近い。

「…とにかく、台帳がないものだから、パスポート(日本のように外国へ渡航する際だけでなく常時身分証明書として携帯している)を持って行きさえすれば、台帳を新たに作ってもらえた」(468ページ)

数年前に見たロシア映画(Прогулка)でも国内を移動するのにパスポートを携帯していることを確認する場面があった。

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