Friday, July 18, 2008

First Chinese to Win Akutagawa Award

芥川賞を受賞した楊逸(Yang Yi)さんの会見。笑えたり、笑えなかったりする。以下は産経新聞(電子版)からの抜粋:

-天安門事件が描かれている。中国の人にとっては大変な事件だと思います。それをテーマの一つに選んだのはどういう理由から?
「私が今まで生きてきて、私自身に一番影響を与えたことだと思っています」

-どのような影響か
「天安門事件をきっかけにしていろいろなことを考えるようになりました。私自身何のために生きているのか、とか大きくなっちゃうのですが、他人と個人との関係とか。ふつうこのようなことがなければ考えることはなかったのかなと思いました」

-今なんのために生きていると思うか
「それは答えはなかなか出ないですね。いまだに出ません」

-民主化運動が装甲車によって押しつぶされた天安門事件に関して、楊さん自身は挫折感はあるのか
「えー(しばらく考え)。すごい複雑なんですけれども、挫折感も多少はあると思います」

-自分の作風といったものは、日本のどういう作家から影響を受けたか
「難しい質問ですが、これまでに読んだ日本語の作品すべてから影響を受けています」

-特にどんな作品か
「筒井康隆さん」

-作品名は
「『文学部唯野教授』とか」
《場内、笑いに包まれる》

-日本の若い人たちをどうみるか
「すごい幸せだなと思いますね。幸せすぎて挫折が足りないかなと思います」
《場内、さらに大きな笑いに》
 
-挫折が必要か
「(笑いながら)すごい必要だと思う」

-楊さんが日本社会、日本人のことをどう見ているかを小説に書くアイデアはあるか
「内容にもよりますが、私がみた日本、あるいは体験した日本をそのまま書きたいと思います」

-いちばん好きな日本語を教えてください
「好きな日本語(大笑いしながら)。いちばん私が好きな日本語…言っていいですか、(両手を挙げ、こぶしの上に手のひらをのせ)足のここをですね、土踏まずと言いますよね、土踏まず。あれはすごく笑える。すごく感動しました」
《場内大爆笑》

-日本は好きですか
「好きです」

-具体的に好きなところがあれば
「(笑いながら)こういうふうにまっすぐな質問をされるところです」

-中国語の講師を続けるのか
「作家専業という道はもちろんあると思うが、作家というのは人と接しないと書いたものは青白くなるのではないでしょうか。働き続ける道もあると思います」

-作品を読んでいると必ずどこかで笑ってしまうが、笑いを心がけているのか
「私の体質みたいな感じですね。皆さん私をみて笑いたいんでしょう」

*
「(作品が)青白くなる」なんて、自分の使える日本語ではない。東京都知事は「風俗小説」だと言って、△の評価しかしなかったらしい。でも、自らの外国語能力を知るためにも読む価値あり。高校生時代に読み続けたのに(「俗物図鑑」「時をかける少女」「七瀬ふたたび」などなど)、それ以降ぴたりと読まなくなった筒井康隆も久しぶりに読んでみるか。産経新聞の編集、甘いな。「何のため」と「なんのため」が混在している。

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